昔から日本の食卓には大豆料理が欠かせないものでした。そのため、海外の人に比べてガンの発症率も低いとされていました。良質なたんぱく源として知られ、健康管理に有効な数々の有効成分を含むことでも話題にもなっています。大豆に含まれるイソフラボンの成分は、女性ホルモンの作用に影響して、乳がんや前立腺がんを防ぐ効果が報告されています。ところが、最近はその逆に過剰摂取で乳がんを発症する!ということで注意を促しているところもあります。
実際、大豆イソフラボンはたくさん摂っても大丈夫なのでしょうか?
妊婦に大豆イソフラボンは必要ないってどういうこと?
大豆イソフラボンは、女性が積極的に摂るべき成分であるとよく聞きますよね。ところが、妊婦にはこれが必要ないということ、また過剰摂取が危険であるとまで言われるのはなぜなのでしょうか?
大豆イソフラボンは、大豆に多く含まれるフラボノイドの1種で、最近女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることで注目されています。骨粗鬆症や更年期障害、乳がん等の女性疾患に有効ということです。女性ホルモンの大きな役割は、妊娠、出産ということです。妊娠中は女性ホルモンがたくさん出ています。妊娠していない時の2〜20倍に達するといわれています。なので、妊娠中には大豆イソフラボンを意識して摂る必要がないのです。
妊婦は過剰摂取に注意が必要?
女性ホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類です。女性の生理・妊娠・出産をコントロールします。特に妊娠すると分泌量が一気に増加し、母体や胎児の成長をサポートする重要な役割を果たします。妊娠中に大豆イソフラボンを摂りすぎるとエストロゲン量だけが増えてしまいます。このホルモンバランスの乱れが原因となって、胎児の発育に悪い影響を与える可能性があるといわれているのです。
また、大豆イソフラボンを含むフラボノイドは、胎児のDNAの構造を正常に保つトポイソメラーゼⅡを阻害し、異常を生じさせる可能性があるともいわれているのです。
過剰摂取で乳がんになるって本当?
女性ホルモンのとり過ぎは、子宮体部ガンや、乳がんの発生に影響する可能性があります。注意するのは「とり過ぎ」です。大豆イソフラボンの1日の摂取量の上限は30mg、と厚生労働省で設定されています。
大豆イソフラボンは、エストロゲンに似た働きをするので、プロゲステロンの作用は期待できません。エストロゲンだけが一方的に働くことで、子宮がんや乳がんなどのリスクが高まることもあります。
乳がんの原因は、ホルモン依存のがんといわれているようにエストロゲンが深く関わっています。近年の女性のライフスタイルは、エストロゲンを分泌する期間を長くしています。晩婚、高齢出産、少子化、子どもを生まない女性も増えてきました。その結果、妊娠・授乳によるエストロゲンの分泌停止期間も短くなり、結果としてエストロゲンが分泌される期間が長くなっているからなのです。
もう1つの女性ホルモンでああるプロゲステロンは、基礎体温を上昇させ、妊娠の維持、乳腺の形成など、妊娠に欠かすことのできないホルモンです。多量のプロゲステロンには、乳がんを抑制する効果があることが発見されています。
つまり、女性ホルモンのエストロゲンだけを増やしてしまう大豆イソフラボンの過剰摂取は乳がんを引き起こす可能性もあるということです。
まとめ
大豆イソフラボンは、女性にとって美容や健康にとても重要な成分です。ところが、過剰摂取がとても危険であることも分かりました。妊娠、出産という本来の女性ホルモンの働きが自然に行われるときには過剰に外部から入れすぎないことを意識しておくことが大切ですね。何でも栄養素はたくさん摂るほうがいいと思いがちですが、なにごともバランスというものが必要です。とくにサプリメントで補う場合は、足らないものを摂るということであって、過剰に補給するものではないということになりますね。