戦後、食生活が欧米化してしまったことでアレルギーが増えたといわれています。赤ちゃんができるとまずわが子はどうなのだろう?と心配になってきます。
両親がアレルギーを持っていると赤ちゃんもアレルギーになるという遺伝的な要素だけでは片付けられないくらいに、近年では増えてきました。では、何が原因でアレルギーになってしまうのでしょう?また、どんな予防法があるのでしょう?
アレルギーになる赤ちゃんとならない赤ちゃんの違いって?
両親だけでなく、祖父母にアレルギー体質の人がいればそれが赤ちゃんに遺伝してしまうおそれがあります。また、妊娠後期に過剰に食べたものでアレルギー症状が出るということもよく聞きますが、まだはっきりとした根拠にはいたっていません。
妊娠中はカルシウム、鉄分など必要な栄養素もたくさんありますが、過剰摂取も控えなくてはなりません。食品添加物の入った食べもの、インスタント食品やファストフードの摂取はなるべく控えたほうがいいですね。
アレルギー物質と呼ばれているものには“卵、牛乳、大豆”の3つがあります。これらを過剰にとったことでアレルギーになったということもよく聞きますね。でも、このことに関して因果関係は分かっていません。ときどき、母乳の赤ちゃんにアレルギーが多いという説も
あります。本当のところどうなのでしょうか?
母乳って本当にいいの?母乳に含まれる成分とは
昔から母乳はとてもいいと言われています。でも、現代のようにアレルギー児が増えてしまったことで母乳が原因でアレルギーになるのでは?と心配されるママも多いのです。
母乳は赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素がたっぷり含まれています。母乳を飲んでいれば、それだけで栄養バランスがとれるのです。
実は母乳の中には、数種類の抗菌物質や免疫物質が含まれています。生まれたばかりで抵抗力のない赤ちゃんを細菌やウィルスから守ってくれます。特に出産のときに出る初乳には赤ちゃんを守るための免疫物質が驚くほどたくさん含まれています。このことから母乳で育つ赤ちゃんは抵抗力が強く、元気な子が多いと言われているのです。
母乳には、タンパク質だけでなく、脂肪分や乳糖、ビタミン類、ミネラル、塩分、ホルモン、酵素など、赤ちゃんが成長していくのに必要なものが全て含まれています。カルシウムは、毎日約200~250g程度含まれます。
大人が気にしながら摂らないといけない栄養素が母乳にはたっぷり含まれているということですね。
【たんぱく質】
また、母乳に含まれるたんぱく質は熱や酵素で固まるカゼインと液体のホエイに分けられます。たんぱく質は赤ちゃんのからだをつくる大事な成分です。
【ビタミン】
ビタミンは、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分けられ、脂溶性ビタミンは母体に蓄積されています。水溶性ビタミンはビタミンCやビタミンB1が挙げられます。
【ミネラル】
母乳に含まれるミネラルには、カルシウムをはじめ、りん、マグネシウム(鉄分)があります。ミネラルはミルクよりも母乳の方が吸収されやすいという説もあります。鉄分は母親が貧血気味でも赤ちゃんには吸収されます。だから、赤ちゃんに心配はありません。
【脂肪】
母乳中の脂肪は赤ちゃんの発育に必要不可欠な成分で、脂肪量は熱量の約45~55%もあります。脂肪の約98%は球状の脂肪球(しぼうきゅう)で、球の核はトリグリセライドという中性脂肪です。トリグリセライドが吸収されると脂肪酸ができます。脂肪酸こそが赤ちゃんのエネルギー源の重要な成分なのです。脂肪酸は新生児の網膜と神経組織の発達、細胞膜やホルモン合成にも重要です。
【炭水化物、乳糖】
母乳に含まれる炭水化物の多くは乳糖(にゅうとう)と呼ばれるものです。乳糖は母乳に含まれる成分の中では、水分に次いで多い成分です。乳糖はカルシウムの吸収を助ける役割があります。他にもオリゴ糖が含まれ、母乳の成分としては一定の安定した成分です。「糖」と言っても、乳糖は糖分とは別の栄養素です。乳糖は、ゆっくりと体内に吸収されるのが特徴で、砂糖などの他の糖分に比べて急激に血糖値があがることがなく、赤ちゃんの神経系にやさしい、安全な糖分ということができます。また、カルシウムの吸収を促したり、ビフィズス菌の成長をサポートする働きもあります。
母乳と乳酸菌の関係
母乳の中にはビフィズス菌のエサとなるラクトNビオースという糖があることが分かりました。ビフィズス菌は母乳に含まれる[ミルクオリゴ糖]という成分を分解して[ラクトNビオース]を作り、体に取り込むことで成長します。ラクトNビオースは糖が2つ結合したもの。母乳で育てている子供の腸内にすむ細菌はほぼビフィズス菌だけ。このため、母乳に菌を増やす仕組みがあると長年研究されてきました。ラクトNビオースはビフィズス菌だけを増やし、他の乳酸菌や体に良くない悪玉菌などは増やさないことです。現在のミルクにもビフィズス菌を増やす成分が添加されているが、菌の増え方は母乳と比べて遅いという結果がわかりました。
また、母乳の中には、ラクトフェリンというタンパク質が存在します。これは赤ちゃんの腸の中で鉄分と結びつき、腸管からの鉄分の吸収を効率よくします。その結果、腸の中の鉄分が少なくなります。鉄分が少ないことで、大腸菌の繁殖が抑えられ、ビフィズス菌などのいわゆる 「善玉菌」 が優勢になります。
まとめ
母乳には、免疫を赤ちゃんに受け渡すと言う大切な機能があります。この免疫から考えるとミルクは、母乳にはかないません。アレルギーの面でも乳酸菌との関係から母乳育児をしているほうがアレルギーになりにくいという理由が分かります。最近のミルクは研究もすすんでいますので母乳に近い成分になっています。
母乳育児ができない人も安心してください。最近ではミルクにもラクトフェリンが含まれています。このたんぱく質には母乳に含まれている成分と似たビフィズス菌を増やす効果があります。ミルクの表示をよく確認して、多く含まれているものを選ぶのもひとつの方法です。
乳酸菌の補助食品などで工夫をするのも1つの案ですね。